皆様、こんにちは。校長代理のハッピーでございます。
「ハッピーの世の中ウォッチング」では、私ども出張ふどうさんの視点から、
世の中の経済や暮らしの動向を解説いたします。
前回は建築費の高騰という大きな話題を頂きました。
今回は私たちの日常の消費行動に目を向けてみましょう。
最近、「アマゾン離れ」という言葉を耳にすることが増えました。
これは単にアマゾンの利用者が減っているということではなく、EC市場が成熟したことで、
消費者の選択肢が多様化し、行動原理が変化していることを示唆しています。
1. 購買体験の「速さ」の飽和
かつてアマゾンが提供した「翌日配送」や「プライム便」の圧倒的な速さは、革新的な価値でした。
しかし、現在では他のECサイトや小売業も物流体制を強化し、「速さ」は特別な価値ではなく、
当たり前のサービスになりつつあります。
この「速さの飽和」こそが、「アマゾン離れ」の背景の一つです。
消費者は、「すぐに届く」というメリットのために、
必ずしも一つの巨大プラットフォームに縛られる必要がなくなってきたのです。
2. 「実益志向」への明確なシフト
では、消費者は今、何を求めているのでしょうか。
それは、ご質問にもあった通り、「ポイント還元」や「セール」などの「実益」です。
- ポイントや限定特典の重視: 楽天やPayPayモール、自社ECサイトなどは、高還元率のポイントキャンペーンや、特定の期間に大きな割引を行うセールを頻繁に実施しています。消費者は、単に欲しい商品を買うだけでなく、その購入を通じていかに「お得」を得るか、という「実益」を強く意識するようになっています。
- 特定のブランドへの回帰: 独自のロイヤルティプログラムを持つメーカーの自社サイトや、専門性の高いECサイトを利用する消費者が増えています。これは、汎用的な「速さ」よりも、「そこでしか得られない特典」や「専門家による確かな情報」という付加価値に魅力を感じている証拠です。
「速く届く」という利便性は維持しつつも、「よりお得に購入する」という経済合理性が、
現代の消費の主なトレンドになりつつあると言えるでしょう。
3. 不動産選びにも通じる「実益志向」
この消費トレンドは、高額な買い物である不動産選びにも共通する傾向があります。
単に「駅に近くて便利(=速い)」という利便性(速さ)だけで物件を選ぶのではなく、
「住宅ローン控除などの税制優遇(=ポイント)」や「将来的な資産価値(=実益)」、
「高性能住宅の光熱費削減効果(=実益)」など、目先の便利さだけでなく、
長期的な経済的なメリットを重視する傾向が強まっています。
新築ではなく「中古+リノベ」を選ぶ合理的判断
特に顕著なのが、「新築信仰」からの脱却です。建築費の高騰が続く現在、「新築を建てるよりも、
古くても経済的な中古物件をリフォームやリノベーションで再生する」という選択が、
合理的な実益志向として増加しています。
- 新築よりも低コスト: 土地と建物の総コストを抑え、浮いた費用を自分の好みに合わせたリフォーム費用に充てることができます。
- 資産価値の持続: 築年数が経っていても、立地の良い物件を選び、最新の設備やデザインに刷新することで、資産価値を維持しやすくなります。
住まい選びでも、ECサイト選びでも、私たちは「いかに賢く、お得に、将来につながる選択をするか」という視点を求めているのかもしれません。
社会のコスト構造や技術の変化が進む中で、私たちの消費の価値観もまた、
着実に変化していることを実感いたします。
出典の例(本記事の分析元情報)
- 経済産業省、総務省などによるEC市場規模および消費動向に関する調査データ
- 楽天、PayPayモール、Amazonなど各ECプラットフォームの決算資料
- 各種市場調査機関による消費者購買行動に関するアンケート結果および分析レポート
- 日経新聞、東洋経済など各種経済・ビジネス誌におけるEC業界の特集記事
引き続き、世の中のウォッチングを続けてまいります。 皆様の暮らしのヒントになれば幸いです。
宜しくお願いいたします。