みなさんこんにちは。校長代理のハッピーです。


今日は、不動産業界が抱える、構造的かつ深刻な課題について考察したいと思います。
それは、「人件費や物価が高騰する一方で、仲介手数料の上限が長年変わっていない」
という問題です。
このままでは、特に「薄利多売」を基本とするビジネスモデルが、
今後極めて厳しくなってくることが予想されます。

🚨 仲介手数料の上限は「昭和のまま」

不動産売買における仲介手数料の上限は、
宅地建物取引業法(宅建業法)に基づき定められています。
特に400万円を超える物件について、「売買価格の3% + 6万円」に消費税を加えた額が
上限とされています。

この手数料の速算式が成立した基本的な考え方は、
1964年(昭和39年)の宅建業法改正の施行規則で定められて以来、
大きな変化がないまま現在に至っています。

つまり、現在の不動産会社は、60年近く前の経済状況を前提に定められた報酬の上限の中で、
事業を行っていることになります。

📈 コスト高騰が圧迫する経営の健全性

手数料の上限が変わらない一方で、会社の経営コストは際限なく上昇しています。
特に顕著なのが以下の二点です。

人件費の高騰: 優秀な人材を確保するための人件費(給与)は、
物価上昇や労働市場の競争激化に伴い高騰しています。
これに加え、社会保険料などの法定福利費の負担も年々増加しており、
社員一人を維持するためのコストは膨らむ一方です。

物価の高騰(経費増): 広告費、ガソリン代、通信費、光熱費、オフィスの賃料など、
事業を継続するために必要なあらゆる経費が物価上昇の影響を受けています。

この「上限が変わらない報酬」と「青天井の経費」というアンバランスが、
不動産会社の経営を根底から圧迫し、業界全体の健全性を脅かす大きな課題となっています。

📉 薄利多売モデルが迎える限界

この構造的な問題を背景に、特に「薄利多売」を前提とするビジネスモデルは、
今後極めて厳しくなるのではないでしょうか。

薄利多売モデルは、低い利益率を「取引の件数」と「多くの社員」でカバーしようとします。
しかし、コスト高騰下では、以下の悪循環に陥りやすくなります。

固定費リスクの拡大: 人件費という変動しにくい高額な固定費を抱えることで、
利益を確保するために、さらに多くの件数をこなさなければならないという
プレッシャーが増します。

サービスの質の低下: 多くの案件を少ない利益で回そうとすれば、
社員一人あたりの業務負担が増大し、きめ細やかな対応が困難になり、
顧客満足度や業界の信頼性自体が低下するリスクが高まります。

💡 業界が目指すべき方向性

このままでは、不動産業が健全に成り立っていくことは大きな課題となります。

仲介手数料の上限規制の是非は議論の余地がありますが、現状のルールが変わらない以上、
不動産会社が生き残る道は、「薄利多売」から脱却し、
「高付加価値化」と「少数精鋭」による高収益経営へとシフトすることではないでしょうか。

すなわち、量ではなく、専門知識、コンサルティング能力、そして信頼性という質で勝負し、
適正な報酬を頂く。
そして、経費を抑え、経営の柔軟性を高めること。
これこそが、構造的な課題に立ち向かうための、最も現実的かつ合理的な
選択であると考えられます。

本日も有り難うございました。