諫早市は長崎県の中でも長崎市、佐世保市に続いて人口が多く、13万人以上の人が住んでいます。漁業や観光業が盛んですが、その一方で人口減少とそれに伴う空き家増の問題を抱えています。
そういった事情がある中で、諫早市は増加する空き家対策として、独自の取り組みを試みています。
ここでは諫早市の取り組みを紹介するとともに、空き家の探し方や所有している空き家の処分方法について解説します。
諫早市の空き家事情
2014年から「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されており、それに追随する形で2017年から「諫早市空家等対策計画」がスタートしました。
ここでは、諫早市の取り組みを人口推移、空き家の増加、空き家の有効活用方法というポイントで解説します。
人口は減少傾向
諫早市の人口は2000年に14万4,299人とピークになりましたが、ここから2022年現在まで右肩下がりとなっています。
2022年5月時点では13万2,593人となっており、ピーク時に比べて約1万人減少していることが分かります。
その一方、世帯数は増加し世帯人員が減少しています。このことから諫早市では核家族化が進んでおり、昔ながらの三世帯が同居するといった家族構成は減少傾向にあるといえます。
増えつつある空き家
人口減少に伴い、空き家は増加傾向にあります。全国の空き家戸数は約849万戸あり、空き家率は13.6%となっています。
諫早市の2021年の空き家戸数は2,176戸でした。2015年は1,705戸だったことから、6年間で約500戸の空き家が増えています。
そして、空き家の所有者は70歳〜79歳が最も多く全体の約25%です。
諫早市空家等対策計画 より
60歳〜89歳までの年齢層で見ると約6割を占めており、所有者の高齢化が進んでいることが分かります。
また、空き家を所有した理由の50%は相続により取得しており、空き家になった理由で一番多い項目は「住んでいた人が亡くなった」でした。
諫早市空家等対策計画 より
これらのことから、諫早市の高齢化と空き家の増加は因果関係があると思われ、空き家の管理が適切に行われていないことの要因にもなっています。
諫早市の空き家はまだ住める?
空き家は増加傾向にありますが、多くの空き家は十分に住める状態を保っています。
諫早市は空き家に対する老朽化判定を行っており、判定内容は次のとおりです。
- Aランク:現状のまま 利用可能
- Bランク:一部修繕で利用可能
- Cランク:倒壊のリスクはないが適切な管理が必要
- Dランク:倒壊のリスクもしくは周辺への悪影響を与える可能性がある
- Eランク:倒壊しているもしくは周辺へ悪影響を与えている
このような判定基準をもとに空き家の老朽化判定を行った結果、諫早市の空き家はランクAが45.2%、ランクBが41.4%となっており約9割の空き家が「現状のままもしくは一部の修繕で住めるようになる」状態といえる状況でした。
これにより、諫早市はランクABの空き家を有効活用するという取組を進めています。
空き家を有効活用するための取組み
諫早市は空き家の有効活用方法として、空き家バンクを開設しています。
空き家バンクとは地元の不動産会社と提携を結び、空き家の物件情報を掲載しているサイトです。
所有者は購入者や入居者を探すことができ、利用者は諫早市にある物件を効率よく探すことができます。また諫早市の空き家バンクは不動産会社が間に入ることになっているため、安心して取引を行えます。
諫早市で空き家を探している方
諫早市で空き家を探している方に、空き家バンク以外の探し方や、空き家に住むメリットやデメリットについて解説します。
空き家に住むメリットデメリット
空き家に住むメリットとして、すぐに住むことができるという点です。
空き家の状態にもよりますが、居住用物件が売主の引っ越し完了まで待つ必要があるのに対し、空き家は鍵を受け取った日から住むことができます。
新しい生活をスピーディーにスタートできるという点は非常に魅力的です。
一方、空き家に住むデメリットもいくつかあります。
主なデメリットは新築戸建ではない分、設備が経年劣化しているという点です。特に家の設備では給湯器が最も壊れやすく、賃貸用であれば貸主負担での修繕となりますが売買であれば買主負担です。
また、長い間放置されていた空き家の場合は、所有者も状態が分からない場合が多く、雨漏りやシロアリ被害があっても売主は責任を負わないという契約内容になっていることが多いです。
そのため、空き家の契約時には契約書をしっかりと確認し、疑問点はすべて解消してからサインするようにしましょう。
空き家の探し方
前述した空き家バンク以外にも探し方はあります。
スーモやアットホームといった不動産ポータルサイトには、現地の不動産会社以外も情報公開をしています。
空き家バンクと不動産ポータルサイトを併用しつつ、情報を漏れなく収集することが空き家探しのコツです。
諫早市で空き家を所有している方
空き家を所有していると、さまざまなリスクを負うことになるため、有効活用の予定がないのであれば処分することをおすすめします。
空き家を所有するリスクと処分方法や助成金について解説します。
空き家を所有しておくことのリスク
空き家は放置すると老朽化が急速に進み、倒壊のリスクが高まります。そのため、近隣住民に悪影響を及ぼす可能性もあります。
具体的には、ハチやシロアリ、野犬といった有害生物の温床になったり、犯罪に利用される可能性です。火災が発生した場合には所有者が責任を負う可能性もあります。
空き家は適切な管理をし続けることで状態を維持できます。
そのため、所有者が草刈りや設備の状態を定期的にチェックすることが面倒なら、処分してしまうことをおすすめします。
空き家の処分方法
空き家の処分方法としては、売却もしくは解体という方法があります。前述した老朽化判定のランクAもしくはBであればそのまま売却できそうです。
しかし、しばらく空き家のままになり、将来的に倒壊するリスクがあるのであれば、解体をしておきましょう。
処分時の助成金
諫早市では「諫早市老朽危険空家等除却助成事業」によって、危険な空き家を処分する際には費用の一部を助成金でまかなうことができます。
助成金を受けるためには、次の要件を満たす必要があります。
- 諫早市内の空き家
- 現に使用されていない
- 構造体が木造又は鉄骨造
- 過去居住用として利用されていた
- 売買取得の場合、現所有者が所得してから1年以上経過
これらの条件を満たした空き家であれば、下記のどちらか安い金額が助成金となります。
なお、助成金の最大は50万円までです。
- 解体・運搬・処分に必要な費用の80%
- 床面積に標準除却費を乗じて得た金額の80%
空き家に関することは地域の不動産会社に相談しよう
諫早市は状態のよい空き家が多く、有効活用できる可能性が高いです。そのため、移住や不動産投資という目的での購入はおすすめです。
空き家を所有している場合も状態がよければ思いのほか、高く売却できるかもしれません。
空き家は探すのも、売却するのも注意点が多く、ひとりで進めてしまうのは危険です。
地域に詳しい不動産会社に相談することで失敗するリスクをなくしましょう。