日本では少子高齢化が進んでいますが、大村市も例外ではありません。

高齢者が増加する中、近年、増加しているのが相続に関する相談です。
特に不動産は相続が難しく、生前のうちにしっかり対策を考えておかないと、深刻なトラブルに発展する可能性も考えられます。

そこで本記事では不動産相続で起こりがちなトラブルについて、大村市の背景を交えながら解説します。

不動産相続で起こりがちなトラブル

初めに不動産相続で起こりがちなトラブルを3つ紹介します。現在は問題なくても、将来的に家を相続する可能性のある方はよく把握しておきましょう。

誰が相続するか話がまとまらない

親が所有する不動産を相続人の誰が相続するか、遺産分割協議がまとまらないケースです。

例えば親が資産価値の高い不動産を所有していると、相続の権利を巡って相続人同士でトラブルになりがちです。
不動産は現金のように明確に分けられるものではないため、特定の人だけに相続されれば、他の相続人は不満を抱く可能性は十分考えられます。

もし協議が難航した場合、共有名義とすることも可能ですが、不動産を共有名義にした場合、所有者が複数いるため、それぞれの意見を尊重しなければならず、権利行使する際に制限を受けるリスクがあります。

遺言書の内容が不明瞭

遺言状を残すことは、相続トラブルを防ぐための有効な対策といえます。遺言の意思が最も尊重されるためです。

しかし、遺言状の内容が不明瞭だと、その解釈を巡って相続人同士でトラブルに発展するケースが考えられます。

実際に遺言の解釈を巡って最高裁まで争われた事例もあるため、特に相続人同士が不仲である場合は注意しなければなりません。

空き家のリスクを把握していない

親が亡くなり実家に誰も住まなくなれば、実家は空き家の状態になります。

空き家を残しておいてもメリットはほとんどないため、売却または解体するのが望ましいといえます。

しかし、「思い出のある実家をそのままにしておきたい」という気持ちがあり、あえて残しておくケースも少なくありません。

しっかりと管理できるのであれば、空き家を残すというのも一つの手段ではありますが、管理を怠っていると、急速に劣化が早まります。

老朽化した建物は、悪臭や害虫の発生を引き起こす可能性があるほか、倒壊・崩落を招く恐れがあり、第三者に被害を与えるケースも考えられます。

しかし、そんな状態でも固定資産税、都市計画税などの税金は支払う必要があるため、対策せずに放置していると、利益を生まずにコストだけがかかるマイナス資産となってしまう場合があります。

不動産相続のトラブル解決策

上記のようなトラブルを解決するための方法を3つ紹介します。

明確な遺言書を残す

遺言とは遺言者(被相続人)が亡くなった後、自分の財産を誰にどれだけ残したいか、最終の意思表示をすることをいいます。

遺言書とは遺言内容を示したもので、生前に準備しておく必要があるので、相続を見越して関係する人全員で話し合い、準備することが大切です。

相続の関係者が納得済みの明確な遺言書があれば、相続を巡るトラブルの多くは解決できるでしょう。

なお、遺言書には「自筆証書遺言」「秘密証書遺言」「公正証書遺言」の3種類があります
それぞれの違いは以下の通りです。

自筆証書遺言書秘密証書遺言書公正証書遺言書
作成方法遺言者が自書して押印する遺言者が作成した後に公証役場に持ち込み保管する公証役場の公証人に作成してもらう
証人の有無不要必要必要
保管先被相続人が保管公正役場が保管被相続人が保管
家庭裁判所の検認必要不要必要

もし不安であれば、司法書士や弁護士などの専門家から事前にアドバイスを受けて作成することをおすすめします。

法定相続人を確認する

不動産相続時には遺産分割協議や名義変更など、書類手続きが多くあります。

単純承認や相続放棄、限定相続などの相続方法を決めるのは、相続開始があったことを知った日から3ヶ月以内と定められています。
また、相続税は相続があったことを知った日から10ヶ月以内に納めなければなりません。

期限内に手続きを完了するためにも、事前に法定相続人に該当する人を確認することが大切です。

不動産の分割方法を決める

もし遺言書がない状態で不動産を相続する場合は、相続人同士で遺産分割協議を行うことになります。
不動産を複数人で相続する場合は、分割するための方法があります。
分割方法は複数あるため、適切な分割方法を選択することでトラブルを避け、スムーズに相続ができるようになります。

  • 現物分割:遺産をそのままの形で相続する方法
  • 代償分割:相続人の1人が遺産を受け取り、他の相続人へ代償金を払い清算する方法
  • 換価分割:売却により遺産を現金化して、法定相続分に従って分割する方法
  • 共有分割:遺産を相続人同士で共同所有する方法

どの方法が適切であるかは不動産の資産価値や相続人の考えによって異なるでしょう。
そのため、相続人同士でしっかりと話し合い、お互いが納得できる方法を選ぶことが大切です。

大村市の不動産相続で悩んだ場合の対応策は?

不動産相続は大きなトラブルに発展するリスクも考えられます。個人ですべてを解決しようとは考えず、専門家へ相談することをおすすめします。
以下に大村市で不動産相続に悩んだ際の相談先を3つ紹介します。

大村市役所の市民相談を利用する

大村市役所では市民相談の窓口を設けています。
定例相談では専門家による各種相談を実施しており、不動産売買、遺言、遺産分割協議など、不動相続に関する様々な相談を受けつけています。

利用はもちろん無料なので、大村市にお住まいの方であれば、気軽に利用できるでしょう。
相続以外の相談も対応可能なので、まずは以下のページから確認してみてください。
大村市|市民相談・定例相談

不動産相続の専門家へ相談する

市役所のサービスと違い有料にはなりますが、信頼のできる専門家へ相談に行くことも大切です。
不動産相続時に相談すべき専門家としては、以下の通りです。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 不動産会社

弁護士や司法書士は相続全般に対応することができるので、遺言書の書き方や相続の具体的な手続きを知りたい場合は、相談すると良いでしょう。

ただし、不動産に詳しいとは限りませんので、相続に伴い不動産を売却するケースや、空き家の運用に悩んでいるケースなどでは、不動産会社へ相談することをおすすめします。

まとめ

不動産相続においてトラブルが発生することは珍しくありません。

遺言書を残すなどして、事前に対策を施すことが重要ですが、もしトラブルに遭遇してしまった場合には、相続人同士で冷静に話し合いをして、解決策を考えることが大切です。

相続に関する法律や手続きに詳しい専門家の意見を聞くことも、スムーズな相続につながるでしょう。

なお、不動産相続の流れや相続税の解説は以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご確認ください。

大村市で相続する時の流れや不動産相続税について解説