不動産を所有すると、固定資産税の納税義務を負うことになります。
固定資産税は対象資産の評価額が高いほど、納税額が大きくなるため、価値の高い土地や建物を所有している人ほど、負担が重くなりがちです。
また、支払いが遅れるとペナルティが課せられる場合があるので、納付方法を把握して必ず期限までに納めるようにしましょう。
本記事では、長崎県大村市における固定資産税の計算や納付方法、期限について解説します。
固定資産税の基礎知識
まずは固定資産税の基礎を把握しておきましょう。なお、固定資産税は地方税に該当するため、市町村によって異なる点もありますが、ここでは全国共通の事項のみ紹介します。
固定資産税とは
固定資産税とは固定資産(土地、家屋、償却資産)を所有している人に対して、市町村が課税する税金です。
課税対象者となるのは、1月1日時点での固定資産の所有者です。
したがって、年の途中で対象の固定資産を売却した場合でも、1月1日時点での所有者がその年度分の固定資産税全額を納付する義務を負います。
固定資産税の計算方法
固定資産税は「固定資産税評価額」に標準税率(1.4%)を掛け合わせて算出します。
基本的な計算式は以下の通りです。
固定資産税=固定資産税評価額(課税標準額)×標準税率(1.4%) |
固定資産税評価額とは、課税対象となる資産の価値のことで、原則として3年に1回見直しがされます。
総務大臣が定める固定資産評価基準に基づいて各自治体が算出するもので、専門家でなければ評価額を算出するのは困難です。
そのため、一般の方が固定資産税評価額を正確に知るためには、以下の2つの手段どちらかで行います。
- 都税事務所または各市町村の役所で「固定資産税台帳」を閲覧する。
- 固定資産税の納税通知書に添付されている「課税明細書」を確認する。
また、土地の場合は地価公示の7割程度、建物(新築)の場合は請負工事金額の5~6割程度が一般的な目安なので、大体の金額は把握できるでしょう。
固定資産税の軽減制度
固定資産税には軽減制度が設けられています。全国共通の制度を3つ以下にまとめます。
【住宅用地で認められる特例】
固定資産が住宅用地の場合、以下の表のような課税標準の特例があります。
住宅の種類 | 特例適用範囲 | 軽減率 |
小規模住宅用地 | 1戸あたり200㎡以下の部分 | 固定資産税評価額×6分の1 |
一般住宅用地 | 上記以外の部分 | 固定資産税評価額×3分の1 |
【新築住宅に対する減額特例】
新築住宅であり、以下の条件を満たしていれば、1戸あたり床面積120㎡を限度に、築5年まで固定資産税が2分の1になります。
- 床面積の1/2以上が住居用であること
- 居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下であること
【認定長期優良住宅に関する特例措置】
長期優良住宅とは、耐震性や耐久性、省エネルギー性能、バリアフリーの性能などが一定の基準を満たす高性能な住宅を指します。
長期優良住宅に認定されると、固定資産税額が2分の1に減額できる軽減措置の適応期間を「5年間」から「7年間」に伸ばせます。
特例措置を受けるための主な要件は2つです。
- 床面積が50㎡以上280㎡以下であること
- 認定長期優良住宅の認定通知書を取得していること
長崎県大村市の固定資産税の納付期限
次に長崎県大村市の固定資産税の特徴をまとめます。
一般的な固定資産税の納付期限
固定資産税は一括払いと年4回払いのどちらかを選べるようになっています。
年4回払いの場合、第一期から第四期で分割して納税することになります。
一般的なスケジュールとしては以下の通りですが、自治体によって期限は異なります。
- 4月~6月:振込用紙と納税通知書の到着(郵送)
- 6月:第一期分の納付
- 9月:第二期分の納付
- 12月:第三期分の納付
- 翌年2月:第四期分の納付
長崎県大村市の固定資産税の納付期限
長崎県大村市の令和5年度(2023年度)の納付期限は以下の通りです。
期別 | 納付期限 |
1期 | 令和5年5月1日 |
2期 | 令和5年7月31日 |
3期 | 令和5年10月31日 |
4期 | 令和5年12月28日 |
第二期から第四期は月末ですが、第一期のみ月初である点に注意しましょう。
もし支払い忘れが心配な方は、1期のときに一括払いすることをおすすめします。
納付期限に遅れるとどうなる?
納期限までに固定資産税を納めなかった場合、ペナルティとして延滞金が加算されます。
さらに滞納が長引いた場合、督促、財産の差し押さえなどが行われるため、早めの対応が大切です。
延滞金の基準は市町村によって異なり、1か月を過ぎると割合が高くなります。
延滞金の割合は年度によって変更する場合がありますが、令和3年1月1日以降は、以下の割合になっています。
- 納期限の翌日から1か月を経過する日までの期間:年7.3パーセントと延滞金特例基準割合(※)に1パーセントを加算した割合のいずれか低い割合
- 納期限の翌日から1か月を経過した日以後の期間:年14.6パーセントと延滞金特例基準割合(※)に7.3パーセントを加算した割合のいずれか低い割合
※各年の前々年9月から前年8月までの各月における国内銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に、年1パーセントの割合を加算した割合を、「延滞金特例基準割合」といいます。
出典:大村市「納付が遅れると」
なお、大村市では納期限を過ぎてから20日以内に市町村が「督促状」を送付することになっています。
もし、督促後も納付がされない場合は、財産の差し押さえに発展する可能性があります。
長崎県大村市の固定資産税の納付方法
固定資産税の納付方法は以下の5種類があります。
- 金融機関などの窓口で納付
- コンビニエンスストアでの納付
- 口座振替で納付
- スマートフォンアプリでの納付(コンビニ納付用バーコードを利用)
- 地方税統一QRコードを利用した納付
金融機関は取り扱いのできる銀行や信用金庫などが決まっているので、事前に確認するようにしましょう。
また、スマートフォンアプリは利用できるものが限定されています。
大村市「市税の納め方」から詳しく閲覧できるので、事前に希望する手段で支払いが可能かどうか、確認するようにしてください。
まとめ
固定資産税の平均は10~30万円程度と考えられています。もちろん、資産価値や面積によって異なりますが、毎年支払う必要があり、家計を圧迫する要因となりかねません。
また、納付期限に遅れると延滞金が発生し、ますます負担が重くなるので、前もって金額の目安を把握し、資金を準備しておくことが大切です。
とはいえ、住宅に関しては軽減制度が適用できれば、負担はかなり軽くなります。特に新築住宅は軽減率が高い傾向があります。
もし固定資産税に不安があり、家の購入をためらっている方は、一度お近くの不動産会社などに問い合わせシミュレーションすることをおすすめします。