土地を購入するに当たって、売買契約書を交わす場合、「本取引は公簿売買とし、登記簿上の面積と、実測面積との間に差異があっても互いに異議を述べず、売買代金の増減を請求しない」という説明文があることがあります。
 土地の売買契約には、登記簿上の表示面積(公簿面積)によって売買代金を確定し、以降その金額を変更しない方式(いわゆる公簿売買)と、契約時の実測面積に基づいて契約代金を決める方式(いわゆる実測売買)とがあります。
 通常は、契約の時点では実測が完了していないことから、暫定的に公簿上の面積で契約し、後で実測面積との差を清算する方法がとられる事が多く、これも実測売買といっています。
事前の確認が無いとトラブルに
 日本の土地登記制度は明治19年にできたものですが、当時の測量があまり正確でなかったことや、地租との関係で少なめに登記されていたり、必ずしも実測面積と同一ではないとされています。
その後の合筆・文筆、境界の移動などで違いが拡大してきたものもあります。
しかし、近年の区画整理や、新規の分譲地の場合は比較的問題が少なく、地積更正をする必要の無いものもあります。 
また、山林や原野などの大きな面積のものを売買する場合は、坪あたりの単価が少額になることもあって、実測しないで売買されることが一般的です。
 ただ最近は地価が高くなってきていますから、実測して清算する方式をとることによって、トラブルを防止しようとする傾向もあります。 
 問題になるのは、これらの売買方式を明らかにしないで売買し、後日面積不足などでトラブルになる場合です。 
 実測の結果面積が足りなく、目的としていた家が建てられなくなるような場合は、錯誤を理由として契約解除を主張できることもあります。
 しかし、公簿面積と実測面積の不一致は普通のこととして認識されているので面積不足による責任は売主には無いとした最高裁の判例もあります。 
ですから、公簿売買の場合であっても、実際の面積が足りないのではないかとの疑問があるのであれば、売主に実測を求めるか、自分で計測してみて、専門家の測量が必要かどうかを判断してみるなどのことが必要でしょう。 
また、違いがあった場合に登記簿を変更(更正)するか否かについても決めておく必要があります